巡見~江戸を縦貫する4 吉原の通り抜け前編
現在の吉原とその“システム”について
酉の市(の準備)で賑わう長国寺・鷲神社を後にして吉原へ向かう。
吉原。江戸時代、江戸市中における幕府公認の遊郭であったことは有名である。その後、公認された売春街としての歴史は戦後まで続く。で、いわゆる歴史事典類を引くと、昭和32年の売春防止法施行により“吉原の灯は消えた”という解説が書かれていたりする。
しかし、現在もなお吉原が事実上の公認の売春街であるということは、知っている人は知っている。新宿歌舞伎町などでは店舗型風俗業を根絶やしにすべく徹底的な弾圧を加えている東京都も、吉原の郭内で行われている売春については、当分これを咎める気は無いらしい。新宿の店舗型風俗の大多数が“最後まで”はやらない、いわゆる非・本番の風俗であるのに対して、吉原は本番を最大のウリにしているにもかかわらず、である。
現在、吉原で“遊ぶ”手順について知りたければ、ネットで検索し、吉原のどこかのお店のホームページにいけばよい。しばしば“システム”と題されるページをみれば、入浴料××円と書かれている。この入浴料とはお店(ソープランド)に支払うお金である。吉原のお店は特殊浴場として営業許可をとっているのである。浴場だから入浴料。で、別のところをみると総額△△円と書かれている場合もある。この入浴料と総額との違いが重要である。
実は、客はお店に入浴料を払った上で、さらに、相手をしてもらう女性にも別途、サービス料を支払うことになる。入浴料と女性に支払うサービス料とを合計したのが「総額」なのである。私もちゃんと関係各位に確認をとったわけではないが、おそらく、売春行為はあくまで客と女性との間の相対の(1対1の)合意でなされていることで、お店は関知していないという建前なのであろう。お店は客から入浴料をとって、接待をしてくれる女性のいる浴室へ客をあげているだけであって、そこから先のことは知らないよっていうことかな。つまり、こうやってお店側は管理売春という違法行為を回避しているのではないか。
ただまあ、客が女性に渡す金額はお店ごとに一定額だから、以上は単なる茶番。でも、その茶番でもって「吉原の灯」はいまだアカアカとともり続けているのかな。
だいたい吉原で営業しているソープランドは150軒弱とされている。在籍している女性の数はどのくらいだろう?出入りが激しいし、幽霊在籍嬢も多いだろうから確定しにくいだろうけど、仮に1軒20人としたら3000人、30人としたら4500人。だいたいその間くらいの人数じゃないかな(歴史屋さんなのにテキトーですみません)。
参考文献:岩永文夫『フーゾク儲けのからくり』(kkベストセラーズ 2003)
システムの話が長くなったので(^^)、吉原通り抜けのお話は後編につづく。
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