« 幼児に作らせるメインディッシュ~“ミラノ風カツレツ”風カツレツほか | トップページ | 沿志奏逢、桜井さんの魅力 »

2005/03/16

「私の研究は面白いですか?」その1(たとえばオデン屋にて)

 私が大学院生だった頃、今はもう退官された、とある大先生いわく、「自分の研究はどのような内容で、そのどこが面白いのか、3分以内で説明できなくてはいけない。」と。
 ただし、本当に「3分」とおっしゃったのか、実は「5分」だったのか、記憶が曖昧だが。

 それはともかく、この場合、説明する相手として想定すべきは同業者ではない。もし同業者が相手なら、「私は×××の問題について研究しています。」とひとこと言えば、「へぇー、×××ですか。それは面白いですね。」でコトは足りる。
 そうではなく、ここでは、「×××の問題」について何の予備知識も持っていない人が相手となる。ただし、最近は、同業者であっても、研究の細分化の影響で、「×××の問題」の面白さについて、事前の了解がほとんど成立しない場合が増えてきている。
 まあ、いずれにせよ、「×××の問題」に関する予備知識のない人を相手に、自分の研究の面白さなり、重要性なりを説明しなくてはならない、という状況を想定しよう。

 むろん、厳密には、相手が日本史に興味ある人か、歴史に興味ある人か、はたまた社会科学に興味ある人か、そうでないか、といった条件を考慮すべきだろうが、まずは大雑把に、近所のオデン屋のカウンターで偶然隣り合って意気投合したサラリーマンのおっちゃんを相手に、自分の研究を説明するといった場面を思い浮かべてみよう。

「ふーん、あんた、歴史の先生やってんだ。」
「ええ、そうなんです。日本史が専門です。」
「日本史っていうと、奈良時代とか、戦国時代とか?」
「いちおう、江戸時代から明治の始め頃がナワバリですね。」
「そうかぁ、江戸時代ねぇ。そういえば、この前、テレビかなんかで、切腹ってのは、実際、刀で腹を刺したり切ったりしないことが多かったって言ってたけど、本当なの?」
「いやぁー、そういうの、全然わかんないんですよね、私。すんません。ふだんは、町なかの露店だとか市場だとか、そういったものを研究してて、サムライのこととか、あんまり知らないんです。すみません。」

 ここで少し気まずい沈黙があって、たがいにビールのグラス傾けた後、やおら、こっちから、ライブドアの話や出身地の質問などへと話題を転じていく、ってのがよくあるパターンです。

 たまたま相手が心優しい人格者だったり、はたまた、会社では“接待の神様”という異名をもつ、話上手ノセ上手だったりすると、「露店や市場の研究ですか。楽しそうですね。むかしはこうしたオデン屋も、露店っていうか、屋台が多かったんですか?」という具合に話を継いでくれるかも知れない。
 そんな時、どうするか。

 と、まあ、“仮想オデン屋空間”のお話はこの位にして、「私の研究は面白いですか?」というタイトルで、次回から少しばかり、自分のこれまでの研究の内容紹介を書かせてください。このブログを読んでくださる皆さんに、「それって、ちょっと面白いかもね。」って思ってもらえるように頑張ってみます。

|

« 幼児に作らせるメインディッシュ~“ミラノ風カツレツ”風カツレツほか | トップページ | 沿志奏逢、桜井さんの魅力 »

コメント

ご無沙汰しています。bunです。
とても楽しみです。がんばってください。

私が18年前に大学を受験したとき日本史の論述があったのですが、
そのとき式亭三馬の「浮世風呂」が資料として上げられており、
大衆浴場が身分制の崩壊に果たした役割について論述したのを覚えています。
(というかその問題だけしか覚えていないw)

あの浮世草子に書かれている江戸庶民の生活がご専門なのでしょうか・・・
拝読してそう思いました。

投稿: bun | 2005/03/17 15:48

激励の言葉、本当にありがとうございます。

>あの浮世草子に書かれている江戸庶民の生活がご専門なのでしょうか・・・

ご拝察のとおり、裏長屋の八つぁん熊さんの生きる社会やら都市空間やらの復元がテーマです。

投稿: 小林信也 | 2005/03/17 16:11

はじめまして、ギエぽんと申します。
私も大学院にて日本近世史を勉強しています。
この度はこちらの記事を、私のブログにトラックバックさせて頂きましたことを報告いたします。
私自身が、まだヒヨっ子ということもあり、自分のやっている勉強の面白さを上手く他人に伝えられないもどかしさが非常にあります。”その2”が非常に楽しみです。
それでは失礼致します。

投稿: ギエぽん | 2005/03/24 10:56

わたしも「いつか書かなきゃいけないかな…」と思いながらまだやってません。専門外のことばかり書いています。自分のやっていることのまわりをウロウロとまわって書いて、何となくわかって頂こうという作戦です。
でも、特に面接試験などでは、5分くらいで、相手に興味をもってもらえそうな上手な解説ができなくてはいけませんね。

投稿: 高尾 | 2005/03/24 11:35

はじめまして、ギエぽんさん。TBとコメントありがとうございます。

「私の研究は面白いですか?」その2は、先週末に書くつもりが、風邪をひいてしまい、書けませんでした。すみません。

ともあれ、楽しみにしてくださる方がいらっしゃると嬉しいですし、その上、こうやってコメントまで寄せていただけると、本当に幸せです。

早速、ギエぽんさんのブログにもお邪魔いたしました。ウンウンと納得の記事が多く、結局、最初の記事から全部拝読しました。これからもう一度お邪魔します。コメント書かせて下さい。

では、以後、よろしくお願いします。

投稿: 小林信也 | 2005/03/24 12:01

高尾さん、こんにちは。
まずは来月、初回の講義でなにがしかの自己紹介をやらなきゃいけませんよね。
まあ、授業にはいろんなスタイルがあるんでしょうが、僕の場合は、やっぱり、まず自分が何を面白がって研究者やっているのかを伝えておいてから、授業をはじめたいと思ってます。
そんな“前説”無しで、内容勝負ってスタイルもあるのでしょうけど。
僕の場合は、肝心の授業内容が貧弱なせいもあって仕方ない。

投稿: 小林信也 | 2005/03/24 12:19

>高尾さま
はじめまして、ギエぽんと申します。高尾さんのブログもいつも拝読しております。今後とも何卒、宜しくお願いいたします。
>小林さま
ご返信頂き有難うございます。僕のページを見に来て下さったということで…(滝汗)若さ故の過ちというべきか、色々勝手なことを書きなぐっているだけで甚だ見苦しいところが多々あると思いますが、ご勘弁下さい。
今後は、見るに耐えうるような紙面(?)作りを心がけていくつもりですので、どうぞ宜しくお願いいたします。

投稿: ギエぽん | 2005/03/24 20:05

ギエぽんさん、わたしのブログにリンクをひかせて頂きました。こちらこそよろしくお願いします。

「……実際には論文であがった成果よりも、飲み屋とかで聞くそれまでの紆余曲折や資料調査先での出会い、そして今社会に対して感じることとかのほうがはるかに分かりやすく、且つ面白いと感じます。そうした情報を提供するのに、こうしたブログ形式というのは大きな意味を持ちます。」

なるほど、そうですね。論文では書けないことがいっぱいありますね。小林さんじゃありませんがブログは仮想オデン屋空間でしょうかね。

投稿: 高尾 | 2005/03/24 21:15

>高尾さま
リンクを頂き有難うございます。これから、なるべく美味しいオデン(コンテンツ)を提供していければと思います。

投稿: ギエぽん | 2005/03/25 14:13

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/72525/3322025

この記事へのトラックバック一覧です: 「私の研究は面白いですか?」その1(たとえばオデン屋にて):

» ブログの効 []
ブログの効能 [続きを読む]

受信: 2005/03/24 10:47

« 幼児に作らせるメインディッシュ~“ミラノ風カツレツ”風カツレツほか | トップページ | 沿志奏逢、桜井さんの魅力 »