ワン・コイン古文書講座へのお誘い
古文書講座、始めます
私にとってのブログの師、高尾善希さんが、自分たちで古文書講座を始めよう、とおっしゃってます。これに、私も講師として参加したいと思っています。
えっ、大丈夫?
とはいえ、正直言うと、私、古文書に関する素養があんまり無いんです。普通、日本近世史の研究者の場合、学生時分に古文書読解の訓練をしっかりやって、それから、そこで培った素養を武器に膨大な史料の森に分け入っていく、というコースをたどります。だから、まっとうな近世史研究者であれば、みなさん、文書の様式や字のくずし方について、オールマイティの知識を備えていらっしゃいます。
ところが、似非・近世史研究者である私の場合、江戸の都市社会について研究したいって気持ちだけが最初にあって、できれば、あのミミズがのたくったような古文書なんてものは読みたくないって思ってました。そこで、まずは活字に翻刻された史料を最大限利用してたわけですが、研究の過程で、どうしても、まだ活字化されていない古文書を読まざるをえない事態が発生する。それで仕方なく古文書を読み始めたわけです。
そんなふうに必要にせまられて読んでいる都市関係の古文書だけなら、亀の甲よりなんとやらで、多少は読めるかもしれないのですが、例えば、農村関係の古文書などにぶつかると、まるで太刀打ちできません。
そんな修業を欠く私が講師をする古文書講座なんて、悪徳リフォーム業者の修繕工事と同じじゃん、と呆れる人も多いとは思います。
専門店にします
そこで、ここはひとつ、「自分にできること」をしっかりと把握して、古文書講座ではそれだけを提供させていただくことにしたいと思います。あくまで予定ですが、今考えているのは、だいたい次のような内容です。
・江戸の町方社会の様子を生き生きと再現できるような史料を読みます。
・古文書の読解に加えて、適宜、絵図などの図像史料の「読解」も行います。
・古文書や絵図に登場する場所の現在をめぐる歴史散歩も別途企画します。
このような方針で、江戸の町に関する古文書を中心に読んでみたいと思っています。たとえば、吉原遊郭に関する古文書を読み、吉原を描いた絵画などを「読解」し、その上で、希望者を募り、今の吉原の歴史散歩におもむく、といった具合です。
例えていうなら、私は、蕎麦が大好きで脱サラして修業し、なんとか蕎麦打ちだけはできるようになった蕎麦屋みたいなもので、そうした蕎麦屋が、たくさんのお客さまに来て欲しいばっかりにうまくもないうどんや丼物を無理してメニューに並べるといったまねはやめようってことです。かろうじて身についた手打ち蕎麦、これ1本で頑張ってみようってことです。
屋台村みたいにしたいです
もちろん、なんとか人並みに作れるかどうかっていう蕎麦1本だけで、大きな店は張れません。せいぜい、小さな屋台が精一杯です。で、そんな店が、ポツンと1軒、野原にたっていてもお客さまは来てくださらない。できれば、隣にはラーメンの屋台、向かいには焼き鳥の屋台、その隣には天ぷらの屋台が並ぶといいなぁ。そんな屋台村なら来てくださったお客さまにも楽しんでもらえそうです。ひと皿ずつ、いろんな屋台をはしごして楽しんでいただくのもよいと思います。
こうした屋台村のような、楽しい、何度も足を運んでいただけるような古文書講座を作りたいと思っています。農村関係の古文書の世界なら高尾さんにお任せ(有能な高尾さんは、農村だけでなく江戸の町のことも軽々とこなせちゃいますが、まあ、それだと私の居場所がなくなるのでご勘弁をお願いしようと思ってます)。で、私は江戸の町。今後は、それ以外にも、芸能のことや、武家社会のこと、寺社のことなどなど、それぞれを得意とする多くの店に声をかけて集まってもらえればいいなぁと思っています。
いらっしゃいませ
そんな屋台村も、お客さまがいらっしゃってくれなければ、店もたくさん集まらない。どうか、お客さま、まずはお味見においでくださいませ。
立派な店の建物や、凝った内装などは期待しないでください。それでも、心をこめて作らせていただいた料理をお出しします。もちろん、高級レストランや一流料亭のようなお代はちょうだいしません。講座1回でお1人様、ワンコイン=500円くらいにさせていただきたいと思います。会場費や資料代などはすべて“込み”です。
応募方法や詳細はこちら。皆さんのお出でをお待ちしております。どうかよろしくお願いします。
出店希望者も募集します
また、新規の出店=講師もひろく募集したいと思います。関連分野の研究で博士の学位を取得しているか、あるいは、関連分野の著作(単著)を発表されているか、そのどちらかを満たす方で、興味のある方はふるってご応募ください。詳細は高尾さんのブログの記事を読んでみてください。
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コメント
お疲れ様でした。小生のブログ、約550アクセスに達しました。yahooの登録サイトになったからですが、このアクセスは企業サイトなみで、正直いってめちゃくちゃ怖いです。もちろん宣伝効果になりますから、怖がってちゃだめなんですが。
投稿: 高尾 | 2005/09/27 15:58
遠方のため、あまりお力にはなれそうもありませんが、ご成功お祈りいたします。
いい講師の方が集まるといいですね。
投稿: あるアーキビスト | 2005/09/28 19:21
「あるアーキビスト」さん、コメント・TBありがとうございます。おっしゃってくださったように、講師もお客さまも、たくさん集まってくれると嬉しいです。
お客さまについていえば、たとえば「近世史を勉強したい、あるいは近世史で卒論を書きたいが、自分の大学には近世史専門の先生がいない。」といった悩みをもつ大学生の方などがもし講座にいらっしゃってくだされば、講師が各々の専門性を発揮して史料の所在などに関するご相談にのることもできると思っています。江戸の都市史であれば、私も少しは力になれると思います。あるいは、社会学や建築史学などの隣接する諸分野を研究されている方で、近世史料を読みたい、史料情報を得たい、という方もお越しくださるとうれしいです。
もちろん、研究はともかく近世古文書を読むことが大好きっていう方も大歓迎します。
そんな古文書講座にしたいです。
投稿: 小林 | 2005/09/29 00:22