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2005/12/26

お江戸日本橋と都市景観その7

日本橋再訪
 先日、学生さんたちと一緒に日本橋・丸の内・皇居周辺を歩いた。で、あらためて日本橋をみたが、やはり、景観復元を掲げての日本橋再生事業をとりまく現状は、おかしなところだらけだ。
 日本橋川の両岸を公園として整備し、その上空の容積率を周囲に売ることで得られる儲けでもって、再生事業のための土地収用その他の費用を捻出するなどという目論見もあって、なかなか有力みたいだ。もしそれが現実化したなら、日本橋川の周辺にはたくさんの高層ビルが建ち並ぶことになるのだろう。両岸の親水公園と、その背後に林立する高層ビル。それが景観復元?おかしくない?

もし首都高が撤去されたら
 学生さんたちとわいわいしゃべりながら、日本橋から神田方向へ、中央通りの東側歩道を北上した。三井タワーの威容が迫ってくる。
 三越の向かい辺りで立ち止まり、日本橋を振り返ってみた。そこで日本橋の上から高架が無くなった風景を想像してみる。
 日本橋川のすぐ向こう岸に建つ野村證券のビルが最初に視界をふさぐ(この建物はいわゆる“近代建築”としてそれなりに趣があるかも)。その奥には、野村證券ビルよりも背の高いビルの壁が、全面ベタっと赤っぽく塗られており、かなり目を刺激する(ここは以前からこんな色だっけ?なかなか大胆で激しい色使いだ)。

逆走する帆船
 さらに日本橋の景観にとどめを刺しているのは、それらのビルの背後で屏風のように広く空を覆う真新しい高層ビル。コレド日本橋。以前の記事にも書いたとおり、容積率緩和が生んだお化けビルだ。
 ビルの壁面の大きなカーブは風をはらんだ帆をイメージしてつくったという、なんたらデザイン賞受賞のこのビルだが、そんな姿が鑑賞できるのはビルの南面だけ。
 日本橋の側から見える北面はただの裏側。デザイン性など微塵もない無表情で巨大な四角い壁。なんたらデザイン賞の審査員は、写真や模型を眺めるだけでなく、実際にこのビルの周囲を歩いてみたのだろうか?
 北風に帆をふくらませながら“水辺空間”にその寒々しい背中を向けて遁走しようとするこの帆船。水辺に向き合うまちづくりなんて、ちゃんちゃらおかしく、付き合いきれないってことなんだろう。いや、そもそも、そこに川が存在することなんて、このビルのデザイナー(六本木ヒルズのデザインもこの人、かなり遠方にお住まい?)は知らなかったからだと私は信じたい。じゃなきゃ、あまりに性質が悪い冗談だ。

被害担当艦としての首都高
 日本橋界隈にあふれるこれら数々の襤褸に人々の目が向かないよう、景観破壊の汚れ役をひとりで引き受けてくれてるのが首都高の高架だと思った。本当にけなげだなぁ。

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コメント

先日は巡見に参加させていただき、どうもありがとうございました。卒論の佳境を迎えていたため、なかなかコメントできなくて申し訳ありませんでした。

日本橋界隈を実際に見たとき、「いずいなぁ~」という北海道弁が当てはまるような気分になりました。
「いずい」の意味は標準語でうまく表現できないんですが、「何かしっくりこない」と捉えてもらえればいいでしょう。

コレドが存在している以上、首都高について議論する余地はないと思います。文字通りの「お化けビル」が、日本橋を歪んだ近代化へ導いているようでなりません。

投稿: イシザキ | 2005/12/28 01:23

soです。
「日本橋の空、広げてみよう」小泉首相が景観保護に意欲 2005年12月27日21時20分
http://www.asahi.com/politics/update/1227/006.html
コイズミが「景観保護に意欲」?
ネオリベラリズムが、ナショナリズム&ポピュリズムと結託するという、わかりやすい構図のなかに、この問題も入ってきたようです。
日本橋問題は、グローバリズムスタディーズの良い事例になりそうですね。

投稿: so | 2005/12/28 15:17

>イシザキさん
巡見の感想、ありがとうございます。
今後も日本橋の行方を見守ってみてくださいね。学ぶことが多いと思います。

>soさん
いかにも、小泉さんの好みそうなネタですよね。誰にも“わかりやすい”あの日本橋と高架の写真だけみせれば、簡単に世論がまとまる。こうした問題について歴史学界はきちんとした批判を展開できるのでしょうか。景観とか環境とかいった殺し文句だされると、からっきし弱そうだし。

投稿: 小林 | 2005/12/29 13:44

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