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2006/01/30

お江戸日本橋の魅力とは? その8

 六本木ヒルズの主要なデザイナーのひとりが、日本橋の高層ビルもデザインしている。コレド日本橋。日本橋付近の景観に決定的な影響を与えるこのビルのデザインに、地域に存在する人々はどこまでコミットしえたのか。それが問題である。

フロム・ニューヨークの帆船の逆走
 
 船の帆に似たコレド日本橋の外観をデザインした人は、ニューヨークの設計事務所のメンバーだそうだ。この人がふだんどこに住んでいるのかはよく知らないが、日本橋の近所で暮らしたりはしてないらしい。国籍についても知らないが、ミネソタの生まれみたいだから、たぶんアメリカ人なんだろう。

 この人のデザインしたコレド日本橋が、何を間違えたのか、南北を逆にして建っていることについては、以前にもこのブログで書いた。
 ビルのオーナーである不動産会社は、「川を中心にした日本橋の街づくり」を提唱し、「ゆるやかに流れる川を中心とした昔ながらの風景」の再生を主張している(「まち日本橋」というタイトルのこの会社のホームページより。それにしても、「昔ながらの風景」を壊しているのはいったい誰よ?)。
 そんな会社の主張にまるで反して、どうしたことか、このビルは、日本橋や日本橋川へ完全に背を向けて建てられてしまったのである。このビルは南側から眺めるためにデザインされている。そして、日本橋や日本橋川はビルのすぐ北側。

 オーナーの不動産会社は、れっきとした日本橋商人の末裔である(厳密にいうと、その昔、本店は京都にあったらしいが)。だが、アメリカ人のデザイナーに白羽の矢を立てて、色々注文つけたのは、間違いなく、日本橋界隈の地理に暗い社員だったのだろう。
 そんなわけだから、実際にビルを作ってみたら、南北が逆になって、日本橋に背を向けてしまった。

 なんでも、この種のビルのデザインをおしゃれなポストモダン焼きっていうらしいが、少なくとも日本橋のそばから見上げるこのビルの裏側は、僕なんかが幼い頃から慣れ親しんできた、コテコテのモダン焼き。馬鹿でかい、真ったいらな四角の壁に、規則正しく窓が並ぶ焼き上がり。

 そのモダン焼きの巨大で無表情な壁が日本橋の南の空を広く覆ってしまっている。

 建てる前から、その高さ・巨大さによって地域の景観を大きく変えてしまうことが確実だったこのビルのデザインについて、日本橋地域で働き暮らす人々はどこまでコミットできたのだろうか。ぜひ確かめてみたいものだ。

付記
 いちおう、このビルのポストモダン焼きの側を写した画像にリンクを張っておく。皆さんは、実際に日本橋に行ってみて、橋のたもとからモダン焼きの側も眺めてみるといい。まさに、お芝居のセットを裏側から見ている気分がするから。
 日本橋の景観がどうのこうのって言う人は、マスメディアやネットでばらまかれる、日本橋と首都高をアップで撮ったツーショット写真だけを眺めるのではなく、ぜひ、首都高とドッコイドッコイのこの巨大な壁の圧迫感を体感してから、日本橋の景観問題を議論すべきだ。

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