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2007/02/28

明暦江戸大絵図と失われた江戸

去年の秋頃はたくさん江戸図をみた。昔、仙台の千葉正樹さんという研究者と一緒に、東北大の図書館が所蔵する大量の江戸図をみたことがあるが、それ以来の経験。 2度目の経験で、鈍感な私にも、やっと江戸図の面白さがわかってきたような気もする。
 今回、江戸図をみたのは、明暦江戸大絵図が刊行されるのに際して、その本に解説を書く仕事を引き受けたからだ。
 執筆の準備段階で、初期江戸についての高名な研究者の村井益男さんと一緒に絵図を調べる機会にもめぐまれた。学ぶことが多かった。

 現在、ちょっと大きめの本屋さんに行けば、江戸図の複製はすぐに手に入る。しかし、その大半は幕末期のもの。明暦江戸大絵図は、その名の通り、幕末からは200年もさかのぼる初期江戸の絵図である。おそらくは明暦大火前に作成された原図に大火直後の情報が記載されて成立した絵図だ。
 江戸は、明暦大火を契機にその姿を大きく変えたとされるが、その時期の江戸の空間構造について考える場合、これは必見の絵図だ。というのも、これまで多く利用されてきたこの時期の他の絵図とは桁違いに良い絵図だからだ。この絵図を見ながらの研究と、この絵図を見ないままでまとめた研究とでは、その中身にかなりの違いが生じるだろう。例えば・・・とここで書いちゃうのはやめておこう。

 最近、広島大の金行信輔さんなどのお仕事などによって、初期の江戸図の研究レベルは格段に上がりつつある。いうまでもなく、この時期の江戸に関する文字史料は非常に乏しい。江戸図研究の刷新の動きは、初期江戸の都市社会に関する研究の飛躍へ直結するだろう。
 
 さて、今回刊行の『明暦江戸大絵図』。出版社は之潮。コレジオと読む。歴史書や地図の出版で有名な柏書房の社長さんが独立して作られた出版社。一冊一冊手作業で製本された、限定157部の『明暦江戸大絵図』はなかなか高価な本だけど、印刷・装丁も素晴しく、また、拙い解説文はともあれ、地図上の文字情報をほとんど網羅する索引も付されていて、美しくも機能的な本となっている。之潮のホームページにいけば、オリジナルや本と比べると、発色がイマイチですが、この素晴しい絵図の中心部分のサンプル写真と、それに付された村井益男さんの解説文があります。いちどおでかけください。
 付記:之潮のホームページに行かれる方は、ぜひ、会社案内や短信の頁もご覧ください。面白いです。おすすめ。

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第10回ワン・コイン古文書講座

さる2月24日のワン・コイン古文書講座でお出しした自習題(町奉行遠山の上申書)の解答は、今日28日の深夜ぐらいにアップします。解答をお探しでこちらのページに来られた方、すみません。もうしばらくお待ちください。

 この古文書講座も、24日で記念すべき第10回をむかえました。今回も30人余の方に受講していただき、大変感謝しております。
 開講当初の私どもの構想のなかで実現した部分もあれば、運営者側の力不足で実現していない部分もあります。今後はできるだけこの講座を長く続けるなかで、だんだんと改善していきたいと思っています。まだそれほど世には知られていないものの、非常に面白い研究をしている若手の歴史研究者もたくさんいらっしゃいます。そのような方もなるべくたくさんお呼びしながら、いっそうの講座の充実をめざしていきます。
 どうか、みなさま、末永くお付き合いのほど、よろしくお願いします。

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