« 続・たけくらべ論争~検査場説の再検証 | トップページ | 今週末の第11回ワン・コイン古文書講座に出講します。 »

2007/06/20

おすすめ 桐野夏生『メタボラ』

 去年あたりの朝日新聞に連載されていた桐野夏生の小説『メタボラ』が単行本化されたので買って読んだ。新聞連載中、ほとんど欠かさず読んでいたので、再読ということになる。ここんとこ、時間がなくて、通勤電車の中で読み進めていったが、二日間で読了。約一年かけて連載を読んだ初読のときとはまた違った面白さがあった。
 
小説のテーマは、ひとことで言うと、「自殺」ってことかなぁ。ただし、この場合の「自殺」とは、生命を絶つという狭義の「自殺」だけでなく、安定した生活やら、大切な愛情やら人間関係やらを自分で壊すこと、つまり、自分の人生を壊していくさまざまな行為のことだ。そんな広義の「自殺」がテーマだと思える。

それにしても、桐野夏生という作家が人間を描くときの筆力は図抜けてすごい。そんな作家に連れられて、「下流社会」を「漂流」する若者の世界をじっくりとめぐり歩くことができる。
 そこでさまざまなかたちの「自殺」に追い込まれていく若者たちの切なさ。深夜のコンビニのバイト店員、工場で働く偽装請負のフリーター、ホスト、デリヘル嬢、バックパッカー。彼ら彼女らの切なさが丁寧にリアルに描かれる。

 そんな「負け組」の話なんかには興味なし、という人はどうでもいいけど、そうじゃない人はぜひご一読を。厚い本だけど、あっという間に終わっちゃいます。

|

« 続・たけくらべ論争~検査場説の再検証 | トップページ | 今週末の第11回ワン・コイン古文書講座に出講します。 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/72525/15498044

この記事へのトラックバック一覧です: おすすめ 桐野夏生『メタボラ』:

« 続・たけくらべ論争~検査場説の再検証 | トップページ | 今週末の第11回ワン・コイン古文書講座に出講します。 »