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2007/11/09

明日は巡見です

二つ下の記事でご案内のとおり、明日は浅草・吉原・山谷界隈の巡見。
結局、今年も山谷に宿はとらなかったけど、巡見終了後、11日の零時に開始の酉の市は見に行くつもり。そちらも付き合ってやろうか、という人は、今夜はしっかり寝ておいてくださいな(笑)。もし同行者が何人かいたら、カラオケで夜明かしかな。

ちなみに、今日はこれから朝日カルチャーの新宿校にて講義。タイトルは「古文書と絵図で読み解く~江戸名所図会の町めぐり」。今年になって隔週で出講しています。で、今日の内容は、もちろん、「吉原と酉の市」。テキストにする古文書は、いわゆる「新吉原町由緒書」。明暦3(1657)年の新吉原成立に関する基本的な史料。これまでの研究もこれにほぼ全面的に依存している。ただ、この史料は、新吉原成立の68年後に作られた、後年の記録。享保10(1725)年に新吉原のとある名主が町奉行所に提出したものだという。ただ、この史料については、もう少し史料批判が必要ではないだろうか。これがどういう事情で町奉行所に提出されたのかも分かってないのでは?そもそも、本当に提出されたのか?内容については、大筋では正しいのかもしれないが、いくつか事実に反する記述もあると思ってる。もう少し分析すれば、吉原についての通説を、少しばかりは書き変えられる気もするが。あいにく時間がなくて手がつけられず。巡見に来る学生諸君、誰かやりません?

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2007/11/07

最近面白かったもの~乾くるみ『イニシエーション・ラブ』、映画『パンズ・ラビリンス』

相変わらずちょこまかと忙しく、記事が書けません。書きたいネタはいくつもたまってきてるんですが。

そんなわけで、近況報告を兼ねて、最近、読んだ本やら見た映画で特に良かったものをご紹介。

ここのところ本はあまり読んでないんですが、抜群に面白かったのは、乾くるみさんの『イニシエーション・ラブ』(文春文庫)。ふだんから作品のディテールを斜め読みしてしまう、かなり先急ぎの読み方をする私は、読み終わってしばらくしても、問題作って呼ばれるこの本のどこがすごいのか、まったく分かりませんでした。ただ、あれれ、ちょっと変だな。作者のミス?って部分が気にはなりましたが。ところがどっこい、ミスじゃなかったんですね。おもしろーい。おすすめです。そんな見事なトリックは別にしても、1960年代生まれの人間にとっては、その世代の恋愛の特徴がすごーく上手に表現されていて感心。描かれているのがあまりに平凡な恋愛だって批判もあるみたいだけど、もちろん、それは作者が意図したところだし、それから、そういう文句言ってるおめーらの恋愛もだいたいこんなもんだろ?って感じかな。
作者の乾くるみって名前は、女性っぽいけど、どうして、こんなに男の心がつかめているのかと不思議に思っていたら、どうやら、男性作家みたいですね。納得。でも、トリックに気がついた後は、なかなか女性の描き方も鋭いなぁと。ただ、まあ、やっぱり、そこに描かれているのは、作者渾身?の「演技シーン」の描写が象徴するように、あくまで紋切り的な、男からみた“女性のすごさ”なのかも。

映画もいくつか観ましたが、とりわけ印象に残ったのは、『パンズ・ラビリンス』。万人にすすめられる映画じゃないと思いますが、もし宣伝とかをみてアンテナが反応してしまい「どうしようかなぁ、行こうかなぁ」って思った人は、なんとか都合をつけて行くべきです(まだやってるかな)。
内戦期のスペインの田舎が舞台の、多感な少女を主人公とするダーク・ファンタジーです。映画評をいくつかみると、「不思議の国のアリス」のダーク版という見方も提示されていますが、私の場合、映画を観てる最中から、「マルチェッリーノ パーネ・エ・ヴィーノ」の物語を連想してました。「マルチェッリーノ」を観て、まずは感動しつつも、こんな悲惨な話を感動の物語に仕立て上げる美化作用というか幻覚作用を持ったキリスト教の怖さや残酷さについて私と共感してくれる人であるなら、なおさら、『パンズ・ラビリンス』は、その辺がストレートに表現されいて、うん納得、の絶対おすすめ映画です。
2007.11.09付記 この記事の末尾のあたり、ちょっと言葉たらずでしたね。この映画で「ストレートに表現されて」いるのは、「キリスト教の怖さや残酷さ」の方ではなくて、物語の「悲惨」さの方です。とってもドライなファンタジーという、一見矛盾した二つの言葉がしっくりとあてはまる映画でした。

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