2011.12.27.付記
以下の記事で紹介した山崎大輔シェフが、在日イタリア商工会議所主催の料理コンクールでみごと優勝しました。まあ、当然の優勝でしょうが。それについてはこちらの記事をご覧ください。
なお、2011年12月現在、山崎シェフは、以下の記事に出てくるイル・バーカロの姉妹店である銀座バラババオでシェフを務めていらっしゃいます。
(以下、元の記事)
気楽なバール・トラットリア
僕が新宿で飲むときはたいていイル・バーカロというイタリア料理店(というかヴェネツィア風居酒屋というか)。前回の記事ではここで建築史の陣内秀信先生とお会いした話を書いた。いつだったか、アコーデオン奏者のcobaさんが飲んでらっしゃるのを見かけて、「大ファンです。」と思わず声をかけてしまったこともある。
このお店に行ったことがなくったって、そんなお客の顔ぶれを聞いただけで、イタリア愛好者の皆さんなら、「ああ、ここはすごく良い店なんだな。」と確信するだろう。
バーカロが開業してからどのくらいだろう?もう10年以上かな。ときどきブランクはあるが、開業当初から今にいたるまで通いつづけている。
というのも、このお店、まずは安い。カウンターでの立ち飲みなら、ワイン2~3杯におつまみを何種類かつけて小一時間いても、1000円いくかいかないか。
もちろん、料理も美味しい。気取らない料理で、なにを食べても外れない安定感がある。というのが開業以来の感想だった。ところが、近年、ここの料理がなかなかすごい。
山崎シェフ
一昨年くらいだっただろうか。いつものようにカウンターで小皿のおつまみを食べていて、思わず絶句するくらいうまかったことがあった。びっくりしている僕に、ホール担当の人が、それを作った人を紹介してくれた。
その人が山崎さん。それ以来、すっかり山崎さんの料理が気に入っている。
シェフの名前が看板になるようなタイプのお店じゃなくて、こうしたスタイルのお店の大きな厨房組織から、山崎さんのような光る料理を作る人が出てくるってのはちょっと珍しい気がする。
以前は、きっちりと叩き上げた職人さんタイプの料理人が安定した料理を出しつづけるってところがバーカロ(とその系列店群)の魅力だと思っていた。そんな厨房で学ばれた山崎さんには、そうした安定感は当然のことながら備わっているし、ご本人もそうしたスタイルを大切にされているようだ。
そして、山崎さんの場合、その安定感の上に光る美味しさがある。オリジナル性の高いレシピでもって料理人の個性がアピールされるって例は珍しくもないことだが、こんなふうに、定番料理の中にでもありきたりの皿とは違う個性の光が宿るってケースにはなかなか出会えない。もちろん、山崎さんは、その定番の中にも、あまりでしゃばらない創意工夫をたくさん込めているんだろう。
「山崎さんご指名で」
というわけで、それ以来、山崎さんご指名のお任せ料理を予約して食べに行ったりしている。いつものお店のメニューにはない、美味しい料理をたくさん楽しんでいる。イタリア好きの友人にもそんな“山崎さん指名”のコースを薦めたところ、喜んでもらえてるみたいだ。皆さんもぜひお試しを。ただし、山崎さんが系列他店へ出張されることも少なくないみたいだから、その辺りはご予約の際に要確認かな。
お店のメニュー設定にもともとあったと思う「シェフお任せコース」の範疇で予約を受けてくれるんじゃないかな。ちょっとびっくりするくらいお得な値段。
山本さんのデザイン・カプチーノ
それから、最近のバーカロの楽しみは、ホール担当(副支配人)の山本さんが出してくれる、いわゆるデザイン・カプチーノ。表面の泡を利用して絵を描いたカプチーノ。うちの子供たちは(そして僕もカミさんも)この山本さんのデザイン・カプチーノが食後の楽しみ(今まで食後にカプチーノだなんてあり得なかったなぁ)。
カプチーノも良いんだけど、個人的には、山本さんのサービスがなかなか好きです。“一分の隙も無い”とか“ワインに対する情熱があふれる”とかいったスタイルではまったくないんですが、これがなかなか良いんだなぁ。カプチーノのデザインもそうだけど、要するに、センスある人なんだよな、山本さんは。
彼の手が空いているタイミングがあったら、ぜひ、デザイン・カプチーノを頼んでみてくださいな。題材はこっちから指定してもたいてい彼はこなしちゃうけど、お任せ自由題も楽しいよ。
最近のコメント