2009/10/26

091024吉原・浅草巡見のご報告

 先の記事でのご案内どおり、先週末、巡見をおこないました。途中から雨が降り始めちゃいましたが、皆さん、しっかり歩きとおしてくださいました。それにしても、今回は参加者の年齢の幅が広かったですね。下は2歳(“お父さん”ご苦労様)から、上は・・・おいくつでしたっけ?

浄閑寺

 まずは“投げ込み寺”の浄閑寺の墓地から。ここを見学すると、やっぱりしんみりとした気分になりますね。吉原のことを研究していろいろ論じる者は、それぞれの主張の内容やら方向性やらはともかく、頭のどこかにこの風景を貼り付けておくほうが良いかも。
 浄閑寺を出て吉原へ。三ノ輪駅の交差点あたりで吉原の送迎車を何台か見かけました。昔はクラウンが多かった。それからちょっと前の流行はアルファード。今年はやたらプリウスが目立ちました。“環境に優しいソープランド”かな。まあ、この時期お買い得だったから一気に増えたんでしょうけど。それにしても、吉原はTOYOTAがお好きみたい。

酉の市

 途中、来月に酉の市が開かれる鷲神社・長国寺の境内に寄りました。すでに熊手を売るお店の骨組みが組まれていました。来月の二の酉、行きたかったなぁ。
 酉の市の開催が鷲神社と長国寺とに分かれているのは、もちろん明治の神仏分離令があったからでしょうが、分離の当初はなにかと大変だったのかなぁ。ついいろいろ想像してしまいますが。現在は、ちょっと外から見るかぎり、仲良く(?)それぞれやっているみたいです。酉の市に関するホームページも、鷲神社のものと長国寺のものとが別々にありますが・・・ホームページの出来については、長国寺に軍配。史料も頑張って収集してあって、なかなかの力作です。私の職場(のひとつ)である東京都公文書館の収蔵史料も掲載してあります。こちらやこちらへ。おすすめです。
 ここでちょっと宣伝。来月の一の酉の直前に、酉の市と吉原界隈の巡見をやります。ただし、有料。朝日カルチャーの新宿校の授業として。興味のある方は、同校のホームページへ。実は巡見に先立つ事前授業の日まではもう間もないんですが・・・当日まで受付可だったと思います。

吉原ソープ街の特権

 吉原のレポートは・・・省略。いろいろ新たな感想も持ったけど・・・。要するにここ(というか、吉原に限らず、いわゆる全国各地のソープ街)にあるのは、基本的に、働く人も客も、日本人(および日本人と区別のつかないくらい日本に同化した人)限定で形成された、そういう意味において特権的な、相対的に安定した準公認の売春システム(間違ってたらご指摘を)。そして、そこから排除された外国人の不安定な売春システムが存在し、従来、そちらの方は、例えばテレビと警察のタイアップ“ドキュメンタリー”番組なんかを通じて、“一般家庭”の“お茶の間”においてもっぱら可視化・社会問題化さてきたというのが、日本の職業的売春をとりまく基本的状況でしょう。ただ、日本における移民社会の発達によって、こうしたダブルスタンダード的な構造の矛盾が、近い将来、露呈されるような気がするけども。さて、どうだろうか。

山谷のあしたはどっちだ

 次に行ったのが山谷。たしかに相変わらず路上に人があふれてはいたけど・・・そうした人々の年齢層からみても、この町は労働者の町という性質をいっそう薄めつつあるように思える。そうした状況を見越すかのように、分譲マンションの建設も進んでいる。
 他方、社会のあちこちに散在するネット喫茶や安アパートの一室で携帯のスポット派遣情報を眺める人々が、ふたたびこうした町を発達させることがあるだろうか。ここでもまた、移民社会の動向がひとつ重要な問題だという気もする。

中国東北料理

 打ち上げは上野。上野駅前の丸井の裏手の方で地下に降りる居酒屋。中国東北地方の料理を出すお店。卓上の炭火であぶり焼いて食べる串焼きの肉が看板。美味しかった!店のなかにはハングル文字があちこちに。料理も、普通僕たちが、韓国・朝鮮の料理だと認識しているものが混じっている。巡見参加者のお一人が、中国の朝鮮族に関係するお店かも、という説を出してくれましたが・・・そうかもしれない。上野に限らず、例えば池袋あたりでも、中国東北料理のお店が増えているみたい。増加の背景が知りたいな。
 それはそうと、このお店の名前を忘れてしまった。誰か、一緒に行った人でこのブログ記事を読んでる人、憶えてたら教えてくださいな。

2009.10.30.付記1
 昨日、財布の中をみたら、この上野の居酒屋さんのサービス券が(笑)・・・しかも3000円分!で、お店の名前は「千里香」でした。この名前をみたら、串焼肉のスパイスの刺激的な香りが脳裏によみがえりました。料理のカテゴリーは「延辺料理」。中国東北地方の朝鮮族自治州が延辺州。Sさんの推察、ドンピシャでした。このお店、かなり美味しかったと思います。例えば、チャプチェ(春雨の炒め物)。韓国料理屋さんの定番メニューですが、ここのお店のはとても味が濃厚。といっても調味料が濃いのではなく、きっと春雨に吸わせたスープの味が深いからだったと思う。
 せっかくサービス券もたんまりとあることだし・・・ぜひ近いうちにまた行きましょう、みなさま。
付記2
 そうそう、巡見当日の第二次打ち上げのご報告を書き落としていました。上野の千里香を出た後は、大江戸線に乗って、当巡見打ち上げの定番スポット、新宿歌舞伎町界隈へ。今回は、参加者のひとりで、私にとっての新宿ゴールデン街の大先達、Nさんのご案内にて、充実した夜の巡見。さすがNさん、ちゃんと花園神社にも連れて行ってくれました。ここでも浅草と同様、酉の市の準備が進んでいました。花園神社の酉の市も行きたいなぁ。露店の食べ物のレベルが高いんですよ、すごく。飲み会は、ゴールデン街の端にある、関西料理の居酒屋。美味しいぞぉ。サービス券は無いけれど・・・ここもまた行きましょう、みなさま。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/10/19

巡見「江戸を縦貫する」の今週末ご案内と日程変更のお詫び

 巡見「江戸を縦貫する」を今週末、24日の土曜午後に実施します。

 コースは、吉原遊郭から山谷、浅草新町を通って浅草寺界隈まで、です。

 三ノ輪にある通称投げ込み寺の浄閑寺の墓地をスタートして、吉原遊郭に行きます。かつての遊郭の外郭部分を歩いてみてその広さを確かめたあと、遊郭跡の内部を歩いて近世吉原の痕跡や現況を訪ねてみましょう。次に山谷へ行きます。オールドタイプの「近代都市下層社会」(僕としては下層社会という呼び方は大嫌いですが・・・)を目に焼き付けておきましょう。現代のニュータイプの「都市下層社会」(下流社会という呼び方も嫌い)について何かを考えようとする人にとっては必須のことかと。そのあとは、浅草新町を縦貫して浅草寺界隈をめぐります。

 もともとこのコースは、酉の市の時期に合わせて来月23日の実施のつもりでしたが、私の仕事の都合でその23日は中止となりました。申し訳ありません。代わりに、今週末に実施します。来月の参加を予定しておられた方もいらっしゃると聞きます。ご迷惑をおかけしたこと、お詫びいたします。

 集合:2009年10月24日(土)13:30 
    地下鉄日比谷線の三ノ輪駅

 所要時間:だいたい3時間半くらい。巡見終了後は、有志で“夜の町あるき”へ。上野か新大久保あたりか。

 基本的には、各大学での私の担当授業の受講生・元受講生に声をかけての企画ですが、このブログをお読みになって興味を持たれた一般の方も遠慮なくいらっしゃってください。
 集合場所の詳細は各大学での授業の際に連絡します。元受講生や一般の方は私あてのメールにてお問い合わせください。今回が初参加の一般の方はそのメールに住所・氏名をお書き添えください。あて先のアドレスはこのブログのプロフィール頁に。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/08/12

オランダ・イタリア旅行記~予告

 8月2日から11日まで、オランダとイタリアへ旅行しました。

 オランダでは、ユトレヒトで国際経済史協会が3年に1度開催する大会へ参加し、イタリアでは、ローマで学術調査をおこないました。

 仕事の内容と成果はそれぞれの“筋々”でご報告することにして、このブログでは旅の間の雑感やら何やらを簡単に書いてみることにします。

 とりあえず、“目次”(予定)は以下のとおり。
 
 1.成田からアムステルダムまでの機内にて
 2.アムスにて~怒らないオランダ人
 3.アムスにて~飾り窓と教会
 4.アムスにて~すりに遭う
 5.都市と清掃業
 6.ローマにて~コルソの上と下、テヴェレの右と左
 7.ローマにて~市場をさがして
 8.ローマにて~めだつ警察
 9.ローマにて~陣内先生の本を片手に

 (つづく)

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2009/05/25

5月30日実施予定、巡見「江戸を縦貫する」のご案内

 今週末の30日土曜午後に、巡見「江戸を縦貫する」を実施する予定です。

 前回は、江戸城とその周辺のコースで、半蔵門→井伊家上屋敷→桜田門→二重橋前→大手門→本丸まで歩いたところで、豪雨にめげて巡見を中断しました。

 今回はその続きです。東京駅→丸の内ビジネス街→常盤橋→日銀・三井タワー→本町通り・大伝馬町→江戸橋広小路→魚河岸→日本橋、といった界隈を歩きながら、江戸町人地の「中心」であった日本橋地区の様子や、その後の変容、現在の町並みなどについて解説したいと思います。

 基本的には、各大学での私の担当授業の受講生・元受講生に声をかけての企画ですが、このブログをお読みになって興味を持たれた一般の方も遠慮なくいらっしゃってください。

 集合場所の詳細は各大学での授業の際に連絡します。元受講生や一般の方は私あてのメールにてお問い合わせください。今回が初参加の一般の方はそのメールに住所・氏名をお書き添えください。あて先のアドレスはこのブログのプロフィール頁で。

 集合:5月30日(土)14:00 JR東京駅
 所要時間:だいたい3時間。
 雨天決行

 なお、第3回は兜町・東京証券取引所や神田の繊維問屋街あたりを歩きます。各大学がおおむね夏休みに入った7月最終週あるいは8月第1週の平日午後に実施予定です。
 その後のスケジュールはまだ流動的ですが、11月23日(月・祝日)の午後に、吉原・山谷・浅草を歩きます。24日午前零時に始まる浅草酉の市の準備の様子も見学しましょう(希望者はそのまま夜の酉の市まで浅草滞在かな?)。(追記:あらら、そういえば24日は平日で、朝1限から授業だっけ。というわけで、私はおとなしく終電で帰るつもり。最近、オールのあとは2日くらいダメージが残る。歳には勝てないや。)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/04/27

巡見「江戸を縦貫する」の報告と次回の日程

 おととい25日に巡見をやりましたが、強い雨のため、江戸城本丸まで歩いたところで中断。コース後半に予定していた丸の内・日本橋はまた次回。
 というわけで、次回は例年より少し早めの日程で、来月、5月30日土曜の午後を予定しています。今回行けなかった丸の内と日本橋界隈を歩きましょう。最近話題になった中央郵便局も見に行きましょうか。それから、丸の内のビジネス街を少し見て回って、日本銀行・三井タワー・本町通り・江戸橋広小路・日本橋魚河岸・日本橋くらいかな。

 以下、25日の巡見の模様を簡単に。

 去る25日は、豪雨の中、巡見を決行しました。途中から合流した方も含めて、だいたい20人弱で歩きました。実際ひどい雨で、数人のこじんまりとした巡見になりそうだなぁと思ってましたから、予想外にたくさんの人が来てくださってうれしかったです。皆さん、足元はびしょ濡れだったと思います。お疲れ様でした。

 集合は地下鉄半蔵門駅。階段をのぼって地上へ出ると、強い雨脚と寒い風。まずは、半蔵門へ。門の内側の吹上地区のことやら、もともと江戸城の正面は、現・大手門側ではなく、こちらの甲州街道方向だったとする、江戸博の斉藤慎一氏の説などを紹介する。
 それから、堀にそった坂道を桜田方向へ下りながら、国立劇場・最高裁判所などを横目で見て、彦根藩井伊家の上屋敷跡へ。現在、屋敷跡には憲政記念館などが建っているが、戦前はここに参謀本部があった。すぐ脇に三宅坂という坂があるが、戦前「三宅坂」といえば参謀本部を指し、戦後しばらくたつと、今度はここに本部を構えた社会党のことを指したそうだ。また、最高裁のことも「三宅坂」と称するらしい。

 井伊家上屋敷跡を過ぎると警視庁。井伊直弼が水戸藩浪士に暗殺された現場はこのあたりだろうか、などと確かめながら桜田門へ。桜田門の次は、二重橋前。中国人の団体旅行者が多く、皆、めいめいのカメラで記念撮影をしている。めがね橋の外には丸の内警察署の警察官。橋の内側には皇宮警察の警察官。見比べてみたりする。ここから坂下門外を経て、大名小路を通り、大手門へ。

 大手門から入ると、各自一枚ずつの入園証。退園をしようとしていた修学旅行とおぼしき男子中学生一行のひとりがもらった入園証を無くしたらしく難儀している。休憩所で一休み。雨が強い。絵葉書や工芸品などの皇室グッズが販売されている。しばらく休んでいると、ロシア人とおぼしき団体旅行客で一杯に。

 休憩所を出て下乗門跡へ。登城した大名はここで駕籠から出て自分の足で歩き始めたわけだろうが、なんとなく、このあたりの石垣は、特に気合を入れて立派に積まれているように見える。殿様たちは、きっと、頭の中で自分の城の石垣と比べてみたに違いない。

 本丸御殿跡に着き、芝生の上を歩きながら、大広間や白書院、黒書院などの位置を確かめていく。老中の出勤ルートなども。それから中奥を通り、大奥へ。将軍の寝室と正室の寝室との近さに、あらためて感慨。

 天守台にのぼる。ますます雨強し。というわけで、ここで巡見は切り上げ。地下鉄の竹橋駅へ。最後に竹橋事件のことを少し話して解散。

 その後は、常連の方々や懐かしの方と共に新宿へ移動し、3軒ほどはしご。アイリッシュパブ→新潟地酒の居酒屋(美味しかった!)→ヴェネツィア風居酒屋。今年度は、池袋北口のチャイナタウンへも行きたいなぁと構想を練る。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/04/20

巡見「江戸を縦貫する」のご案内・続報

 前の記事でご案内しましたとおり、今年度最初の巡見を、今週末の25日土曜午後に実施します。私が出講する各大学では今週の授業の際に、集合方法などをお知らせします。
 各大学での私の授業の受講生・元受講生を対象に参加を呼びかけての企画ですが、このブログをご覧になった一般の方も歓迎します。一般の方の場合は、ご面倒ですが、このブログのプロフィール頁にあるアドレス宛に、氏名・住所を明記したメールを、前日夜までに送ってください。こちらからのご返信にて、集合方法などをご連絡いたします。元受講生の方は、氏名を明記したメールを送ってください。

 日時:4月25日(土) 13:30~
 行程:半蔵門→井伊家屋敷→桜田門→二重橋
     →江戸城本丸(東御苑)→丸の内ビジネス街
     →日本銀行→三井タワー→魚河岸→日本橋

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/04/13

2009年度第1回目・巡見「江戸を縦貫する」のご案内

 本年度も、巡見「江戸を縦貫する」を始めます。今のところ、4月25日の土曜午後の予定です。

 江戸城本丸をスタートして、丸の内ビジネス街→日本橋金融街→神田浅草橋問屋街→山谷ドヤ街→吉原売春街までを、3回に分けて歩き通すこの巡見コースは、都市・江戸の一方の端からもう一方の端までを縦貫すると同時に、現代都市・東京の端から端までを縦貫するコースです。年度末には、番外編として、都内各所の都市再開発地域(六本木ヒルズだとか品川インターシティとか)を歩く予定です。また、外国人街としての歌舞伎町や新大久保へも、巡見各回の終了後の恒例“オプショナルツアー”としてちょくちょく足を向けるつもりです。
 こうした巡見の趣旨についてはぜひこちらの記事もご覧ください。

 基本的には、私が出講する各大学の受講生・元受講生の皆さんを対象に参加を呼びかけての企画ですが、このブログをお読みになって興味を持たれた一般の方もどうぞ遠慮なくいらっしゃってください。

 さて、第1回目は、4月25日(土)の午後を予定しています。コースは、皇居二重橋前・江戸城本丸跡(東御苑)・丸の内ビジネス街・日本橋・三井旧本館と三井タワー・日本銀行などをめぐるコースです。
 詳しい案内は、近日中にこのブログに書きます。また、各大学の講義の際に、チラシなどを配布します。皆さん、ふるってお出ましくださいませ。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/03/17

鞆の浦に行って架橋・埋立問題について考えてみました

 先週、仕事があって2泊3日で鞆の浦へ行ってきた。といっても、このブログで取り上げた架橋・埋立問題の調査に行ったわけではない。しかし、鞆の町を歩きながら、その問題についてもいろいろと思うことがあった。

 先の記事でも書いた観光地化の問題。架橋・埋立工事に反対する人々のうち、少なからぬ人々は次のように主張している。
 架橋・埋立工事の経済効果は一時的なものであって、長期的には、観光資源である景観の破壊が鞆の地域経済をダメにする。工事を中止して歴史的景観を守り鞆を観光地化することで地域経済は立て直せる。

 しかし、そうした主張に根拠はあるのか?

 久しぶり(十数年ぶり)に行った鞆では、観光客向けの土産物屋や飲食店が増えているのに驚いた。ちょうど、町では雛祭りのイベントをやっていた。旧家の多い鞆の町内のあちこちで自宅の雛飾りを一般公開していた。また、町のあちこちでは、例のちっちゃな可愛い人魚の絵も目にした。鞆の観光シーズンとしては、海水浴シーズンにつぐハイシーズンだろう。

 だが、先の記事でも書いたとおり、観光地化で地域経済を振興する、というのは、かなり困難なことのように思えた。

 団体客を乗せた大型観光バスは市外のバス会社のものであった。一方、私が乗った地元のバス会社が運行する路線バスに観光客の姿はほとんどなかった。
 土産物屋や飲食店も、日中はそれなりに賑わうものの、朝のうちや夕方以降はガラガラであった。鞆観光は日帰り客(というか短時間通過客)が大半なのだから当然のことだ。ハイシーズンでこの状況なのだから、シーズンオフの状態はおおよそ想像がつく。
 仮に、これら何十軒かの土産物屋や飲食店で雇用が発生するとしても、あまりにわずかな人数であろう。しかも、それらは、年間を通じての雇用ではなく、ハイシーズンのみの短期アルバイトになる。たいていのお店では、経営者の家族や親戚の誰かひとりふたりが忙しい時間帯にお店を手伝えばなんとかやっていけそうである。というか、それが経営的には一番だろう。

 一方、鞆の町の中で、20~30歳ぐらいの間の男性が働いている姿には、公務員系をのぞくと、ほとんど出会わなかった。2日間いて、4~5人会ったかどうか。
 そして、鞆の主要な地域産業である鉄工業はかなりの苦境のようだ。鞆の町の北の方にある鉄工団地周辺を歩いて回ることは今回できなかったが、おそらく、昨年後半から深刻化した不況はいくつかの工場に致命的なダメージを与えているだろう。

 先にも紹介したが、ネットなどで目にする工事反対派の主張のなかには、歴史的景観を活かした観光地化こそが鞆の採るべき将来の道だ、といった発言がしばしば出てくる。公共事業に依存しちゃうような旧来の地域経済振興は不健全であり、鞆の場合、観光地化にこそ、明るく正しい未来があるのだそうだ。

 要するに、国や自治体の税金などを当てにしてはダメで、鞆の人々は自力でもって観光業という「自由」な「市場」でお金を獲得しなさい、という趣旨のご指導である。

 これを聞いたら、髪の長い元首相や元大臣の大学教授などはさぞかしわが意を得たりと感激するだろう。もし本当にそのとおりでうまくいくのなら、つい最近、懺悔の本を書いちゃった経済の先生などは、喜んで再転向して逆懺悔の本なんて出しちゃうかもね。

 まあ、別に、新自由主義がぜったい悪であると言っているわけじゃない。ただ、ふだんは新自由主義やら市場原理主義やらに対して、弱者や田舎の切り捨てだとか批判している人たちが、もう片方で、上に書いたような、公共事業批判と鞆の浦の観光地化の主張をしているのだとしたら、それにはちょっと首をかしげてしまう。
 ましてや、ご自身、公共事業やなんとか助成金といった、国や自治体の税金の恩恵を被っているような人々までもが、“田舎”経済の公共事業依存を批判しているのだとしたら、そりゃもうめちゃくちゃな話だと私なんかは思ってしまうのだが。それは間違っているだろうか。

 念のため付け加えておくが、だからなにがなんでも架橋・埋立工事を実施せよ、と主張するつもりはない。だが、鞆やその周辺の地域経済に対しては、早急で大規模な経済対策がぜひ必要だと思う。それが鞆の地域経済の病気を完治させる薬ではないとしても、まずは今の痛みを緩和し延命を図る薬の処方がすぐさま行なわれるべきだと思う。

| | コメント (11) | トラックバック (0)

2009/02/05

2月14日実施予定の巡見『江戸を縦貫する』~ヒルズめぐり編のご案内

 前の記事でお知らせしましたとおり、2月14日に下記の要領で巡見を実施します。
    
 ・日時:2月14日 13:00から夕方まで
 ・集合:JR浜松町駅の北口改札外に13:00集合
     (新橋・東京駅寄りの改札を出て右手にある
      キップ売り場の奥の辺り)
 ・コース:浜松町汐留ビルと高層マンションゾーン
       →汐留日テレ周辺
       →(都バスで)六本木ヒルズ
       →(バスかタクシーで)アークヒルズ
       →(徒歩?)新橋→(JRで)品川インター
         シティとグランドコモンズ

 
※13日付記:空模様が少し心配でしたが、どうやら午後には晴れるみたいですね。ありがたい。
※集合場所のJR浜松町駅北口は、山手線・京浜東北線のホームにおりて、一番北の端(新橋・東京寄り)まで歩いて、突き当たりの下り階段を降りたところにあります。ホーム途中の階段やエスカレーターで上の階に昇らないように。そちらから北口にまわるのはちょっと厄介ですよ。

 東京の都市再開発地区を自分の足で歩いてみて、現代都市社会における“ユートピア”を体感しようという企画です。本当にそこは理想の都市空間なのか?

 ちょっと欲張りすぎのコース設定かなぁ。まあ、当日のみんなの疲れ具合をみて変更するかも。歩きやすい靴で来て下さいな。

 基本的には、各大学で私が担当する講義やゼミに出席したことのある人向けの巡見企画ですが、一般の方も歓迎します。一般の方は、事前に私宛にメールでご一報ください(アドレスはこのブログのプロフィールのページをごらんください)。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/12/03

酉の市めぐり、途中でゴールデン街

 今年は酉の市に合わせた巡見が設定できなかった。痛恨。ただし、個人的には酉の市を歩くことができたのでご報告。

新宿にて
 まずは、新宿花園神社の酉の市。つい最近、期せずしてうれしい再会をはたすことができた友達が、新宿ゴールデン街を案内してくれるという。以前からゴールデン街には興味があったので、大喜びで出かける。スタートの遅いゴールデン街へ行く前に、ちょうど酉の市が始まったところだったので、友達と一緒に露店をひやかして歩く。見世物小屋も出ていた。
 東京のあちこちからお客が集まる浅草酉の市と比べると、こちらは若干こじんまりとして、お客も近隣からやってくる人が比較的多い感じ。開店前のホストたちが連れ立って熊手をかついで道行く姿がいかにも新宿ローカル。友達いわく、ここらの露店の食べ物はなかなかレベルが高いと。たしかに、うまそう。ついつい手を出したくなったが、その後のゴールデン街ツアーに備えてがまんした。
 ゴールデン街では5軒くらいハシゴ。“顔役”の友達のおかげで貴重な経験。やはり、ゴールデン街は本当に良い世界だった。お店で働く人々、そこに集まるお客さんたち、みんなが、この街のディテールとして生きている。そんなディテールをもった社会のあり方が街の景観にも如実に反映している。ゴーストタウン化したなんとかヒルズも、いつかこんな街になれば良いのになぁ。
浅草にて
 翌日は、目白にある大学で開かれた、とあるシンポジウムにコメンテーターとして参加。私のコメントの稚拙さにも関わらず活発な議論が続く盛会。閉会後、目白駅の近所で懇親会。そのまま楽しく二次会へも出席。
 その頃、浅草酉の市は、終盤を迎えていたはず。去年の巡見で知り合った熊手のお店で今年はバイトしている学生さんたちから携帯へ「仕事が終わるから飲みに来い。」とのお誘い。というわけで、真夜中の零時過ぎに浅草酉の市にて合流。取り片づけにあわただしく動き回るお店の人々を眺めながめてから、すぐ近所の吉原へ。
 まずは、旧遊郭ゾーンの角にある韓国居酒屋ぽらむ。ここ、すごく良いお店ですよ。マスメディアやネットにはほとんど情報流れてないけど。
 で、そのあとは、例によって、浅草のカラオケボックスで始発待ち。ひとりの学生さんが気を利かせて、YUIのRolling Star を歌ってくれる。やっぱ良いねぇ、YUIは。
 調子に乗って、自分で、同じくYUIの新曲 I’ll be を歌おうかとも思ったが、なんとか自制。好きなんだけどなぁ、この曲。だけど代わりに柴咲コウの影をついつい歌ってしまい、かなりひかれてしまった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧